スーパーで買える
野菜がすべて?
在来種野菜とは
日本で栽培されている野菜の種類数は、どのくらいあると思われますか。スーパーの野菜売り場を想像してみてください。
100種類くらい? なんと、その数150〜180種類と言われています。
実は、このうちほとんどが、古くは弥生・縄文時代から今に至る長い年月をかけて、外国から輸入され栽培されるようになったものです。
もともと日本に存在していた野菜は、20種類弱しかありませんでした。
日本に自生していた野菜の例:
「ウド、オカヒジキ、山椒、自然薯、じゅん菜、せり、蓼、つるな、浜ぼうふう、ヒシ、蕗、まつな、三つ葉、茗荷、はくらん、山牛蒡、百合、山葵」等
今から考えれば、ずいぶん少ないように感じますよね。
他の野菜は、少しずつ輸入されながら、各地で栽培されるようになり、何代も種を取りながら安定し、各地で個性を持ちつつ、現在の野菜にたどり着いたということになります。
しかし、現在スーパーで買える野菜も、そのすべてが買えるわけではありません。野菜には種類があり、手に入りやすいものとそうでないものがあります。
F1種と在来種とは
野菜には種類があります
なぜ、すべての野菜がスーパーに並ばないのでしょうか?
それは地域によって取れる種類が異なるから、という点もありますが、基本的には流通している野菜は「F1種」と呼ばれる野菜だからです。
F1種とは、人為的に一代限りにした野菜を言います。生育が早い上に収穫量が多く、形や大きさが揃いやすいなど、現代の大量消費にとって大きなメリットのある野菜たちです。
一方、在来種は脈々と種を採取してきた野菜たち。こちらはF1種とは異なり、大きさや形はバラバラになる傾向があります。
しかし、個性がある味を持っていたり、実などからふたたび栽培可能な種を採取していくことができるなど、メリットを持っています。
在来種野菜、興味があれば是非食べてみませんか?
在来種の野菜たち
ここでは、筆者が食べた在来種野菜の一例をご紹介します。
おおまさり(落花生)
千葉県産
落花生は南アメリカ・アンデス山脈が原産地。江戸時代に中国を経て日本に持ち込まれました。
その後、明治時代に入ってから関東地方を主に栽培されるようになりました。
生で採れたものは水分を多く含むため、1ヶ月ほど干して、その後出荷されます。
生の落花生を店頭で見かけたら、千載一遇の機会ですのでぜひ購入して、生茹で落花生として食べるのをおすすめします!
▼こんな形で採れます
関連レシピ
茹で生落花生
落花生のロースト
水くぐり(枝豆)
滋賀県産
大豆は、元々日本にはありませんでしたが、中国から伝わってきて栽培されるようになりました。
その歴史は古く、弥生時代の頃ではと言われています。
日本で広く栽培されるようになったのは、鎌倉時代頃。大豆がなければ、今の日本の大豆加工食品(醤油、豆腐、納豆、おから、きな粉)はありません。
「水くぐり」は、滋賀県産の品種の大豆です。
土地では水害が多かったそうですが、それを名前の通りくぐり抜けた強い品種です。
また、大豆には色によっての種類分けがあり、みずくぐりは「黒目大豆」に分類されます。
枝豆として塩ゆでして食べると、ぽくぽくした食感がたまらないです。
南部赤長かぶ
岩手県産
赤長かぶは、一見ダイコンに似ています。
長さは約20〜30cmくらいで、太さは約4~5cm、表は紅色で中部は白色です。
パリッとした歯ざわりで、煮物には向かないため、漬物に使われることが多いです。
関連レシピ
南部赤長かぶの酢漬け
鶴首南瓜
長崎県産
南瓜には3つの系統があり、
1.アンデス山脈にルーツを持つ西洋かぼちゃ
2.熱帯地方をルーツに持つ東洋かぼちゃ
3.北米の乾燥地方をルーツに持つペポカボチャ
に分けられます。
鶴首南瓜は、この2の「東洋かぼちゃ」の一種です。
その名の通り、細長い形に特徴を持つ在来種野菜です。
昭和40年頃からスーパーの店頭では西洋かぼちゃが席巻してしまいますが、愛知県などでは、この鶴首南瓜は伝統野菜として栽培されています。
特徴として、以下が挙げられます。
・下部の膨らんだ部分にのみ種がある
・繊維質が少なく、水分が多い
・濃厚な味
水分が多いため煮物ではなく、ポタージュスープなどにするのに適してしています。
▼切るとこんな形です
関連レシピ
鶴首南瓜のクリームスープ
赤紫さつまいも
長崎県産
一般的なサツマイモと比べて、紫色の色素成分(アントシアニン)が多く、調理加熱しても濃い紫色が残るのが特徴です。
九州では、焼酎をはじめ様々な酒類や各種飲料が造られているそうです。
糖度は低く、そこまで甘くなくさっぱりとしています。
関連レシピ
赤紫さつまいもとクリームチーズのサラダ
赤紫さつまいもペーストのマシュマロトースト
小田切大根
長野県産
小田切大根は、長野県小田切地区で古くから栽培されている大根で、首の部分が赤いのが特徴です。
身が固いため、漬物に向いており、冬先に漬けて春先に食べるとちょうど良くなると言われています。
関連レシピ
小田切大根の糠づけ
小田切大根と魚河岸あげの煮物
在来種野菜のレシピ
筆者がどのように在来種野菜を食べたか、レシピをご紹介します。
落花生のロースト
落花生の泥を良く落とす。水気を拭き、陽のあたる場所などで2日ほど乾燥させる。殻が乾燥しているのが確認できたら、そのまま170度のオーブンで様子を見ながら30〜40分程度焼く。
茹で生落花生
落花生の泥を良く落とす。鍋にお湯を沸かし、塩と落花生を入れ中火で40分程度茹でる。塩分は3%程度。味見をして、ちょうど良い硬さになったら火から下ろし、ざるに上げ、水気を切る。
南部赤長かぶの酢漬け
南部赤長かぶを2mm程度の輪切りにし、塩をまぶす。
30分程度放置して、出てきた水分をギュッと絞る。
その間、酢・酒・砂糖・だしで甘酢を作る。ビニール袋で、水分を切ったかぶを1日ほど漬ける。
鶴首南瓜のクリームスープ
かぼちゃを一口大に切り、中火で炒める。水を適量入れ、コンソメを入れて荒くつぶしながら20分程度煮る。ミキサーにかけなくとも、どんどんと水分が出てなめらかになる。(気になる場合は
ブレンダーなどで混ぜても可)
牛乳を入れて、塩・こしょうで味を整える。
鶴首南瓜は上部が細長く、下部が丸みを帯びているが、下部の方がスープには向いている。
赤紫さつまいもペーストのマシュマロトースト
蒸した赤紫さつまいもを潰し、なめらかになる程度生クリーム少々を加えて、ペーストにする。
食パンにペーストを塗り、マシュマロを載せ、トースターで5分ほど焼く。
赤紫さつまいもとクリームチーズのサラダ
赤紫さつまいもを蒸す。ラップして電子レンジでも蒸すことが可能。低めのワット数(150W位)で15分前後、500Wなら5分前後。低めのワット数の方が甘みが損なわれない。
蒸した赤紫さつまいもを荒くつぶし、熱いうちに室温に戻したクリームチーズを混ぜる。
あれば、砕いたくるみやアーモンドなどを加えると、楽しい食感に。